仕事が終わって家まで帰るときの時間が最近好きになった。
カメラを片手に路地に入ったり、路上物件を横目に見ながらのんびり帰る。
仕事からの解放感と、人通りの少ない静かな民家の間をすり抜けて、なにか別の街にいるような感覚を味わえるのが好きなのかもしれない。
小学校の頃は、日中の陽が出ている時間の方が好きだった。
それは放課後遊んでいた校庭でボールが見えなくなるからであったり、駄菓子屋さんが閉じてしまうからであったり、夜道を歩くのが怖いからだったりした。
いつからかじわじわと帰りが遅くなって、見えなくなって困るボールも、空いてる時間を気にする駄菓子屋さんも、怖くてしょうがなかった夜道も無くなってしまった。
大人になって失ったと思うことが、かなり多くある。ひょっとしなくても、そういうものばかりかもしれない。
今まであまり意識してこなかった「若さ」という言葉が、案外しっくりくる。
もうそろそろ、長くないのかもしれない。
あとは惰性か慣性か。自分が動いている速度もわからないまま、どこかで停止するのだと思う。
降車ボタンがあればいいのに。
まあもうしばらくは、乗っていたいな。
降りるのはきっと、暗くなった夜のバス停な気がする。
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登ってんのか降ってんのか。
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