そのひとのめ

なんとなくの毎日を、書きたいときに、書けるだけ。

サンドウ

ハンドルを戻してアクセルを踏むと、左右から覆いかぶさっていた緑が左側で途切れて、ところどころに雲の浮かぶ遠く見渡す限りの山々が眼前に広がった。

減速して車を停めたら、じっくり見ようとして運転席から身を乗り出す。シートベルトが引っかかった。左ハンドルだったら良かったのにと、少しだけ思う。

前列左右の窓を開けてからエンジンを切って、一口だけ残った炭酸の抜けたコーラを飲み干す。こういうときに車から降りられないところが自分らしいと思ったけれど、評価してるのはいつも自分だ。嫌いではない。

 

まだ走り始めて間もない道だけれど、この道は好きかもしれない。

この先でもっといい景色が見れるかもしれないと期待を持ちながら、裏切られる心構えもしっかり心の片隅へ。

傷つく事ばかり想定してきた分、傷つけられ慣れていない。だから、そのときのことは不安に思ってしまう。そんなずいぶんな人間になってしまった。

気づかないうちに標高を上げていたけれど、景色を見ている余裕がなかったのかもしれない。

少し、ゆっくりしたいと思った。

対向車は、しばらく見ていない。

もしかすると、先が行き止まりなのかもしれない。

地図を見るとやはり道は途切れているが、ギリギリまで舗装は続いているようだ。

自分に合っているように思う。

転回くらい、どうにかなるだろう。

行けるところまで、行ってみることにした。

 

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誰かのために咲いていない。

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