↓ よっつめ
予報では雪だったが、なんだかんだで今日も太陽が顔をのぞかせている。
昨晩は雪も降らなかったようなので、今日は駅までゆっくりと歩いた。
普段あまり意識していない靴だが、雪のある地域ではとても重要だということが分かった。
水が入らないだけで散策は本当に楽しくなるし、内側が暖かいとストレスが格段に少ない。
底が厚く多少の歩きにくさはあるが、雪の上では程よい没入感が逆に良い。
購入して本当に良かった。
歩き回ってもまだまだ変わりないので、来年以降もお世話になると思う。
メルヘンの交差点から、三本木の坂を上る。
一桁代の傾斜がかわいく見える。そこは少し慣れたのかもしれない。
南小樽駅の少し手前で振り返ると、建物の隙間から防波堤灯台が見えた。
ここを離れるときは、あの間を通ることになる。
今の自分には、とんでもなく「狭く」感じた。
今年で営業を終えられた小町湯さんにも行ってみた。
道内で最古参の銭湯だが、時代の流れか閉業されたとのこと。
佇まいは寂しげでありながらも、たしかに小町湯であった。
ほんとうにおつかれさまでした。
小町湯を後にして、近場を歩く。
ターミナルは静まり返り、日本海の荒天を知らせるアナウンスが繰り返しなされていた。
いろいろなものを乗せたらべんだあは定刻通りに港を離れ、荒ぶる日本海を進む。
持ち帰るものと置いていくもの、日本海に捨てていくもの、いろいろなものが乗っている。
入港は、2.75時間遅れの正午となった。
あたりに雪はない。
後部甲板に残るかすかな白い凹凸が、みるみる減っていくのを感じた。
新潟からは新幹線を使った。
出発してすぐに眠りについて、目覚めると東京に入っていた。
例によって重く感じるスーツケースを、両手で持って階段を下る。
人波を懸命にかわしながら家路をなぞり、相変わらずスーツケースの似合わない部屋の扉にひとり吸い込まれた。
妙に静かに感じられる室内で、こちらでも瓶の半分ほどになったインスタントのコーヒーをすする。
コップの底にこびりついた粉に、湯を足してかき混ぜた。
ゆっくりと、丁寧なつもりで、必要以上に。
(F)