小学校の頃、よく通学路で石けりをしていた。
集団下校ではなかったと思うけれど、方向の近い何人かで集まって帰っていることが多かったように思う。
一つの石を適当に蹴って近くの人がどんどん繋いで距離を稼いだり、それぞれが自分の石を延々と蹴っていたりして、ルールもなくただただ蹴るだけだったけれど、なんだか楽しかった。
一緒に帰っていた友人たちの中では家が1番遠かったので、1番蹴っている時間も長かったかもしれない。サッカーをしていたこともあって蹴ることについては少し自信があったし、「上手い」って言い方が石けりにあるのかはわからないけれど、得意なことだと思っていた分、楽しかったのだと思う。
そんな石けりも、中学になると突然終わりを迎えた。
理由はいくつかあるけれど、1番は学校までの距離が著しく短くなったことだ。小学校の頃は歩いて15〜20分ほどかかっていたものが、中学は5分そこそこで着いてしまう。
道も直線しかなく、側溝も少ない。新しく着なければならなくなった制服も、石けりをするには適していない。もとい、適した服もないかもしれないけれど。
そんなこんなで石を蹴って帰ることがなくなった少年は、次第に蹴る行為そのものから離れるようになってしまったのだった。
通学中の帰るまでの暇つぶしという見方をすれば、暇な時間がなくなってしまったとも考えられる。部活動も始まって、放課後に校庭で遊ぶ時間もなくなった。今思えば、この頃から意識しないうちに大人に寄っていたのかもしれない。
住まいが変わった今の場所は、あまり石けりに適した土地柄とは言えない。
なんとなく蹴る石も、探すのに一苦労。
ある意味で、やり場のないなにかをぶつけられないでいるのかもしれない。
次に実家のバス停を降りたら、ちょっとだけやってみようかな。
石になにか、渡せるかもしれない。
ここで石がかわいそうだなんて思っちゃうあたりが、自分のダメなところだと思う。
翼くんが羨ましい。
ボールに慈悲は、ないのかい?
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ハードで、ぶつけろ。
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