そのひとのめ

なんとなくの毎日を、書きたいときに、書けるだけ。

おとなのスロープ

学校が休校になって、通勤で見るのはスーツを着た大人ばかりになった。 自分がそっち側になってしまったことを実感して、少しおかしい。もとい、笑えない。 もし自分が子供だったら、雪が降ったときみたいな気分ではしゃいでいたかもしれない。まあ自分のこ…

だれぞの掌

普段考えている分には、自分は人のいないところが好きで、誰もいない風景や場所、そこで過ごす時間の量を増やしたいと考えているように思う。 最近は時世もあって人混みを避けるような風潮が高まっているけれど、そうやって世間から意識的に命令をされると、…

ウィンク・サーモ

久しぶりに雨を見た。 真冬の寒さはひとしきり峠を越えて、少し生ぬるく感じる湿った風がどこか懐かしい。 学生のころ感じていた季節感は、ある程度の自由に時間的な限りがあることと、当時からすると「妙な」大人になってしまうことへの焦燥感にぼくを気づ…

ブラックブラック

図工の時間で絵を描いた。 絵具セットに並んだ絵の具の中で、白い絵の具が一番好きだ。 全部の光を反射しているけれど、なにかを吸ってみたそうな目をしていて、ちょっと別の色を足したときに、どうやってももとの色に戻らない。 白い絵の具を使いたくて、「…

ふでまんねん

久しぶりに万年筆を使おうとしたら、インクが入っていなかった。 在庫なんてないよなと思ってだめもとで探してみると、たまたま残っているカートリッジを見つけてすぐに交換をば。 それにしても、前に使ったのがいつだったか思い出せない。かなり前だ。イン…

4次元紛失

いつもあるものがなくなると、なんとなく不安になる。 朝起きたときの太陽の光とか、通勤途中の道に落ちているリップクリームとか、筆箱の中にあるいつもは使わないシャープペンシルとか、意識しようとしていまいと、今まであったものがなくなると、そこにど…